肉盛り溶接とは?摩耗・欠けを最小限に抑える補修方法

肉盛り溶接は、損傷した金型や部品の表面に金属を段階的に付加して元の寸法と形状を復元する補修手段です。

TIG(アルゴン)溶接やレーザー溶接を用い、段階的な肉盛り・研磨・熱処理を組み合わせることで、精密寸法(±0.01mm程度)までの復元が可能です。

適用対象例

  • コーナー部・エッジの欠損
  • 型面・ピン・入子・コアピンの摩耗による寸法狂い
  • 高硬度部材の局所補修

施工方法と選定基準

TIG溶接(アルゴン溶接)

アークを使って母材と溶接棒を溶かし、金属を盛る方法。
熱が大きく深く溶け込むため、強度の高い補修が可能です。広い範囲の肉盛りや強度重視の箇所に適しています。

適用条件:厚み≥3mm、強度重視の金型部位

レーザー溶接

細いレーザーを局所的に当てて金属を溶かす方法。
熱影響が少なく、変形が最小限に抑えられるのが特徴で、精密な箇所や細かい補修に適しています。

適用条件:薄肉部、微細寸法、変形抑制が必須

肉盛り溶接のメリット

1. 局所補修でコスト削減

損傷部分のみを補修できるため、部品全体を作り直す必要がなく、コストを大幅に抑えられます

2. 生産ライン停止を最小化

新品製作と比べて工程が少なく、スピーディーに補修できます。
またエムテックエンジニアリングなら、出張溶接も対応。
持ち出すことなく、その場で対応できます。

3. 元の形状・寸法を高精度に再現できる

熟練した技術者による肉盛り溶接は、元の形状に近い状態まで精密に再生できます。
必要に応じて研磨・仕上げを行うことで、金型や部品の精度を維持したまま補修が可能です。

肉盛り溶接を用いた事例

事例をもっと見る≫

実際の活用シーン

肉盛り溶接は、以下のような現場で活用されています。

  • 金型のコーナー部が欠けたため、レーザー肉盛り+研磨で補修
  • 摩耗した型面をTIG肉盛り+研磨+焼き戻しで寸法・硬度回復
  • 生産ラインを止めずに出張対応で補修を実施

損傷箇所の状態や部品の形状に応じて、溶接方法や仕上げ手順を柔軟に選択することで、新品に近い精度での再生が可能です。

肉盛り溶接で金属部品を長寿命化

肉盛り溶接は、摩耗や欠けといった損傷をピンポイントで補修できる、高精度で経済的な溶接方法です。
交換や新規製作と比べて、コスト・時間・生産ロスを大幅に抑えながら、部品寿命を延ばすことができます。

当社ではレーザー溶接・TIG溶接の両方に対応し、部品の状態や用途に最適な補修方法を行なっています。
お困りの補修案件がありましたら、ぜひ1度お見せください。

記事監修

南 恭宏

役職 
代表取締役 / 精密溶接技術統括責任者

専門分野
精密溶接、金型修理・製作、金属加工全般

「困りごとを解決する溶接屋でありたい」という信念のもと、現場で培った実践的な技術とトラブル解決のノウハウを惜しみなく指導。受講者に寄り添いながら、技術と人間力の両面から成長を支えます。